キトは毎日天気も悪く、町の雰囲気もいまいちなので、早々に移動することにした。
コロンビア方面に向かうので、ガイドブック曰く、北部方面行きのカルセレン・バスターミナルから、コロンビアとの国境の町トゥルカン行きのバスが出ているとの記載がある。
一方、カルセレン・バスターミナルはとてもアクセスが悪く、メトロとバスを乗り継がねばならず、できれば行くことを避けたかった。
情報ノートを見ると、南部方面へのバスをメインで運行しているキトゥンベ・バスターミナルからもトゥルカン行きが頻発しているようだ。
こちらはメトロのみでアクセスできるので、キトゥンベからトゥルカンに行くことにした。
このトゥルカン行きのバスだが、ローカルバスと長距離バスの中間のようなバスで、途中での乗り降りの回数が凄まじく多い。
とにかく時間がかかるのである。
キトゥンベ・バスターミナル。想像を遥かに超えて、きれい。
トゥルカン行きのバス。
キトの治安の悪さは十分に感じていたし、バスターミナルで荷物を全て奪われた人にも会っていたので、とても注意していた。
しかし、このバスの中で、キトの治安の悪さを実感できる出来事に遭遇した。
キトゥンベ・バスターミナルを出発してすぐに、黒人8人くらいがバスに乗り込んできた。
空いているのに、横に座ってきた時点で、嫌な予感がした。
そう、予想通り彼らは荷物の集団窃盗団なのだ。
しばらくすると、横に座ってきた黒人が執拗に話しかけてきた。
小さい荷物は足元に置き、両足で支えるようにしていたのだが、何となく荷物が動く感覚がある。
どうやら後ろの席から必死に、中身を抜き去ろうとしているようなのだ。
しかし、ここで大きく反抗しても相手は8人もいるのである。
もし、強盗に変わられたら、それこそ一貫の終わりである。
絶対に中身を抜き取られないように、後ろからは触れない位置に、さりげなくカバンを動かしたりして、被害がないようにした。
すると、横に座っていた黒人が、さらに色々話しかけてきて、
「リクライニングをすれば、快適だから」
などと、勝手に人の席のリクライニングのボタンを押してきた。
だいぶイライラしていたのもあり、これに対しては、
「触るんじゃない!」
と一喝。
その時点で、彼らの行動に変化が出た。
深追いはしないのが彼らの流儀なのか、突如立ち上がり、一斉にバスから駆け下りて行った。
今回は、バックパックを切られたわけでもないし、被害はゼロだ。
しかし、後ろの席から、バックパックのチャックを開けて、中身を狙ってくるとは思わなかった。
次から次へと、色々な手口が出てくるものだ。
エクアドルだが、世界的な観光名所のガラパゴスを持っている割に、観光客を他の町に呼び込めない理由が良くわかった。
グアヤキルにせよ、キトにせよ、全く持って治安を維持できていないのだ。
町中に、ツーリスト・ポリスは多くいるのだが、ペルーのように真面目に見張ってはおらず、ただ無駄話をしていることが多いのも気になった。
その後は、無事にトゥルカンに到着した。
トゥルカンのバスターミナルから、エクアドル側イミグレへはタクシーで移動した。
特にボッタくってくることもなく、スムーズに移動できた。
また、コロンビア側のイミグレの対応もスムーズで、さらにコレクティーボがイピアレスの町まで頻発しており、これまたスムーズに移動できた。
ガイドブック曰く、危険な国境とのことで、情報すら掲載されていないが、個人的には、前回ペルーからエクアドルへ抜けたときのほうが断然大変だったように感じた。
トゥルカンのバスターミナル。
エクアドル側イミグレ。
コロンビア側イミグレ。